Sさん
鼓膜に垂れる鋭い舌鋒も、仄温かな蝋燭からもたらされる感興に身を委ねてしまえば、全てが甘美に生まれ変わった。
絆されて、身も心も……溶けた蝋と混ざり合う。
惜しみ無く注がれる恍惚に漏れ出たため息の中で、気付けば貴方自身が溺れていた。
Kさん
薄っすらと、肌透けする黒ストッキングの筋光りを目で追いながら、爪先の動向を興味深く探る。
覆い被さった折に圧着した箇所は、独特の湿った生地の質感を待ちつつ、表面はサラリと乾いた滑らかさで肌をそば立てて来る。
怒張した肉棒を、艶黒の爪先で踏み付けた。
上擦った声が出て、顎が持ち上がった瞬間、喉元に手を掛けて、声も下腹部も支配した。