11月9日
Hさん 長い永い淫夢から目覚めないままの軀は、一見平穏そうだった。 未だ夢見心地、と言うより、まるで夢遊病のようにふらりと訪れた風だった。 欲に吹き晒された、建て付けの悪い拗らせ方をした軀に触れられるまで、淫夢はまるで予期せぬ貴方を嘲笑していた。 現実の手は、夢と大きく懸隔があった。 堪え難い快楽に当然軀は持つはずもなく、淫夢と共に弾け飛んだ欲望は、私の手のひらの中で熱く滾らせたままだった。 Oさん 血が滞るほどきつく縄を打つ。 そしてタイミングを見計らい、一気に縄を切る。 急速な生命の通いに酩酊状態を起こす脳と、感覚が希薄なまま固まった四肢は、この独特の感覚を、呆然としたまま打ち拉がれるのが定例なのだそう。 じわじわと焦点が定まるこの数分間が、彼にとってのオーガズムタイム。