Sさん
タオルをひん剥くと隠し持っていた粗末な愚息があらわれた。
前世で相当な悪行でも働いたのだろうか。
あまりの不憫さに、詰り蔑む以前に絶句しそうになる。
こんな物を一生身に付けたままという惨めな人生など、憐憫を悦びにすり替え己を誤魔化さなければ生きていけなかったかもしれない。
そう思えばこの歪んだ性癖にも納得がいく。
だか生憎な事に「来世も今と全く同じ粗末な愚息のまま生まれ変わる」のは確実で、必死の努力も水の泡となろうとは夢にも思わないのであろう。
不遇……いえ寧ろご褒美ね。
あの続きはこれで良かったかしら。
Kさん
真っ直ぐに見上げる瞳に酔いしれていたかったけど、すぐさま思い直す。
愛でるのは後だ。
まず躾。